内科クリニック開業に適した立地条件・エリアを、人口統計から考える
目次
内科開業に適した立地条件か判断する3つのポイント
- 過去10年間の商圏の全体の人口推移
- 過去10年間の商圏の60歳以上の人口推移
- ライバル内科の数
開業の立地は、駅近が良い、主要な道路沿いが良い、目立つところが良い、などあります。
しかし、前提として、エリアが正しいか、が重要です。
開業エリアが正しいかの判断は、商圏調査で明らかになります。
データ上明らかなのに、わざわざ負けにいくのは、開業する意味がありません。
- 医療の商圏は、半径2キロ以内です
- 地形(海・川・山)などにもよりますが半径2キロと覚えておく
- 内科は高齢者を対象。高齢者人口に対するクリニックの割合だけ見ればOK
- 美容系などの自費診療はそもそも都市部でなければいけないので全く別の話
- 美容系は、人口密度ではなく、預金量(お金持ちの数)が重要なので、田舎では成立しない
① 過去10年間の人口推移をチェック
- 全体の人口が減っていても、過去10年間で60歳以上の人口が増えていれば開業OK
- 5%でも増えていれば多い方です
そもそも日本の人口自体が減少傾向にあります。
なので、主要都市以外は、全体の人口が減少傾向であることは仕方のないことです。
それを言ってしまうと、開業するエリアがなくなってしまうので。
全体の人口が減少している中でどうやって適切なエリアを見つけるかがポイントになります。
- 商圏(半径2キロ以内)の60歳以上の人口が10年間で増えていれば開院OK
- ここ5年間でさらに増えていれば、なおさらOK
- 過去10年間で商圏の全体の人口が増加している場合、新規クリニックが連続して開院する可能性あり
- 全体の人口増加は、クリニック増加の可能性を示唆する、と分析する
② 地域のライバル開業医の数をチェック
- 商圏の60歳以上6000人に対して1個の診療所、なら開業OKです
ここでの商圏とは、やはり半径2キロ以内の地域を指します。
例えば、商圏の60歳以上の人口が6万人であれば、クリニック10個までなら開業してOKです。
それらの他のクリニックが、後継ぎのない高齢ドクターのクリニックなら、なおさらOKです。
- 自分が最後の後発クリニックのはずがありません
- あまりエリア条件が良すぎると、さらなる若手が登場します
そもそも20年間しか経営しない
- 開業医は20年したら辞める、と考えた方が良いです
- 経営者がいつまでも健康であることを前提とすると危険です
人口統計も子供を診ないのであれば、15歳未満の人口はまったく気にしなくてOKです。
その子供が30歳になったところで月1患者にはなりません。
後発クリニックが、開業10年以内に登場しなければ、自院はそのまま波に乗っています。
開院10年後に近所にクリニックができても患者数はそんなに減りません。
- 開院10年後に近隣にクリニックが建っても患者数はそんなに減らない
- 10年間は新規開業の勢いを保っていく努力と接遇が必要
人口統計は調べてくれる3つの業者
- コンサルタント
- 卸(おろし)
- 銀行
人口統計自体は、市町村のホームページなどから入手できます。
その作業に対して、コンサルはお金がかかります。
卸や銀行は無料でやってくれます。
コンサルは、統計に対して独自のメソッドで解釈を加えて、判断を仰げます。
卸や銀行は、統計は用意してくれますが、解釈はしてくれないし、ましてや判断は経営者がしなくてはいけません。
逆に、経営者自身で判断できれば、データだけあれば良いのです。
- データの準備は無料でしてもらう(卸・銀行)
- 解釈はコンサルか、自分で行う
人口統計の準備はイヤがられない
- 日頃から銀行や卸とお付き合いがあれば、人口統計の準備は無料でも嫌がられません
- ただ、かなり手間のかかる作業なので、感謝の気持ちは必要です
ただ、常に競合を用意してお互い緊張感があった方が、良いものが生まれていきます。
卸は常に2社以上であった方が良いです。
銀行も1つの銀行に依存しない方が良いです。
- 普段から2つ以上の同種業者とお付き合いがあると、業者同士が切磋琢磨してくれる傾向あり
- その習性を上手に利用する
ビジネスの立地は、"地元にこだわらない" ことが重要
- 地元開業にこだわらず、ビジネスに良い立地を見つける事が重要なポイント
- 地元開業と収益化は、別の話なので冷静に分けて考える
- "生活の快適さ" にこだわれば地元開業もあり
基本的に日本は沈みかかった船です。
税金の制度も厳しくなり、本当は脱出した方が良いのかもしれません。
日本を脱出した方が良いかもしれない時代の中で、地元という小さい枠組みにこだわってビジネスを起こしてつまづく訳にはいきません。
地元以外の開業でも、爆益があがれば、ふるさと納税で地元を支援するという方法もあります。
- 地元の方が安全に開業できるわけではありません
- 地方での地元開業は、分が悪いことの方が多いと考えて冷静に開業エリアを判断する
まとめ
- 内科開業は、データを適切に読んで開業エリアを決める
- 過去10年間の人口推移をチェック
- 地域のライバル開業医の数をチェック
- ビジネスなので地元にこだわらない
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