職員の必要人数は規模によります。
原則、社会保険料のかからないパートが多い程、人件費としては最も低く抑えられます。
しかし、常勤でしか頼めない仕事内容も多く、その人数を何人に設定するかが求められます。
目次
おおよその人件費を知る
結論から言えば、おおよそ下記の通りです。
- 一般的な内科、小児科、耳鼻科、眼科 であれば、人件費は1か月150万円程度
- 整形外科、皮膚科 であれば、人件費は1か月400万円程度
とにかく、整形と皮膚科は人件費がかかることを知っておきましょう。
耳鼻科と眼科は、整形や皮膚科と同じように患者数の多いですが、意外と人件費はかかりません。
これは、ドクターの診察室に機械が必要かどうかで変わります。
診察に経鼻のファイバーや、細隙灯顕微鏡などの機械が必要な場合は、診察室を複数個はつくれません。
つまり、耳鼻科と眼科は、原則ドクターは1人のクリニックということです。
整形や皮膚科は、ドクターを複数人雇用するために診察室を複数個つくっても部屋のコストは安価で済みます。
であれば整形や皮膚科は将来的にドクターが増える可能性があるでしょうし、その分 部屋も増設し、コメディカルも多く配置される可能性があるわけです。
結局、人件費やその他のコストを上げながら収益も上がっていくイメージなんですね。
助手ちゃん
ごま氏
一般クリニックは 常勤5人(事務3人・看護師2人)が普通
不足分はパートで補う。この人数では誰も有給休暇が取れないので、実際はもう1人常勤がいないと不満が溜まりがち。
職員が有給休暇を円滑に取得するため、もう1人の職員を雇用するとき、その職員1人分の給与は、「税金を控除するための経費と見なす」、という経営者側のバランスも必要。
また、常勤を増やす事で、スタッフの不満を減らして働きやすい職場にする、という事も大切です。
しかし、多めに雇い過ぎる事は、後にクリニックの財政圧迫の原因にもなるので、まずはやや少なめに採用するのが良いでしょう。
はじめから余裕をもって多く雇用しても、開業当初はそこまで忙しくはありません。
助手ちゃん
ごま氏
でも人の雇用には経費がかかるし、一度雇用したら簡単には辞めさせられないんだよね
大きなクリニックではスタッフが20人を超えることも
主に整形外科、皮膚科、手術をしている眼科のクリニックです。
整形外科ではリハビリの療法士が2人以上いればリハビリの単価が上がります。
つまり運動器Ⅱリハビリテーション(20分2000円)が算定できます。
皮膚科も、歯科診療方式で上手に回しているクリニックでは看護師が大勢必要になります。
助手ちゃん
ごま氏
中途は集まりにくいけどリスクも少ないからね
パートは社会保険料を払う必要なし
パートばかりのスタッフであれば、原則、社会保険料を支払う必要はありません。
クリニックのパートで社会保険を支払う必要があるのは、主に、1)週20時間以上勤務のパート職員、2)月88000円以上の給与のパート職員、ということになります。
- 週20時間以上勤務のパート職員
- 月88000円以上の給与のパート職員
これらに引っかからないようにパートを募集することが経営者にとっては大切な人件費節約となります。
逆にパート職員から見れば、週20時間以上勤務ができたり、月88000円以上報酬があれば、社会保険にも加入でき、なおさら有益になります。
助手ちゃん
ごま氏
でも午前だけに揃えたり、午後だけに揃える方が多いよね
クリニックは午前の患者が多いから午前だけ手伝ってもらう方が合理的だね
パート職員だけでクリニックを運営するのが1番安上がり?
人件費だけで見ると、パート職員だらけの職場の方が、人件費は安上がりです。
なぜなら、職員の社会保険料の支払いがないことと、ボーナスがないからです。
パート職員はボーナスがありません。これはとても大きいです。
しかし、パートだけでクリニックをつくろうとしてもうまくいきません。
時間になるとかっちり帰宅されるため、しっかりとした組織づくりや、頼み事ができないからです。
決まった仕事をお願いさせて頂く数人のスタッフという見方の方が雇用者は気がラクでしょう。
助手ちゃん
ごま氏
パート職員はトレーニングで有能スタッフに!
パート職員は、決められた事をたんたんとしていく事をイメージして応募される方が多いです。
つまり、能動的な動きは期待しづらいということです。
その分、決められた仕事はきっちりやってもらえることが多いので、こういう場合はこうして欲しいとしっかりシミュレーションしたイメージを伝えて、結果として効率よく動いてもらえるようにしましょう。
そのためには経営者やドクターがある程度のマニュアルと作ってミーティングをすることが大切になってきます。
例えば、検査が終わった患者さんを先に診察するか、初診を先に診察してサッと検査をオーダーするのか、ついさっき来院した予約の再診患者を先に診察するのか、などを看護師や事務やクラークのパートスタッフに、あらかじめルールを伝えておくととてもスムーズに動いていきます。
助手ちゃん
ごま氏
収益を生み出す職種は手当も必要
収益を生み出す職種、つまりリハビリの療法士、放射線技師は、手当がある程度必要です。
逆に、いないと診療はできませんが、看護師と事務職はひとりで利益を生み出さない職種となります。
まずは少なめに給与を設定しておき、1年1-2%程度、昇給するパターンが多いです。
また、基本給の昇給をするとボーナスも上がってしまうので、資格手当てで昇給していく作戦もあります。
1年間の人件費の計算は月給x15か月分です。
常勤スタッフは1年間で3か月分のボーナスが必要なので12か月+3か月で合計15か月分の給与を1年間に支払うことになります。
助手ちゃん
ごま氏
ボーナスは基本給の3か月分だね
収益を生み出す職種に変えていく努力も必要
リハビリ療法士や放射線技師は収益を生み出す可能性がある一方で、看護師や事務職は単体では収益を生み出しません。
医師の診察だけで収益を伸ばすには限界があり、これらのコメディカルの力を伸ばしていく必要があります。
つまり、医師が関わる時間を最小限にしつつ、収益を上げる事がポイントとなります。
看護師や事務職をなるべく単体で収益を上げられるようにすればよいわけです。
主に2つの方法があります。
まずは自由診療による点滴治療の導入です。自由診療の点滴で、看護師の関わる時間を長く、医師の関わる時間を短くして収益を上げる事ができます。
また、物販をすることで、窓口で事務職が収益を上げられるスタッフになることができます。
これらは元々、自由診療などを行うつもりでスタッフを集めるというよりは、保険診療をする上で、暇な隙間時間を使って収益を上げる発想の方が無駄なく上手くいきやすいです。
ドクターが一人で忙しくしていて、他のスタッフの時間がある時は、「手の空いているスタッフで効率よく利益を上げることはできないか?」を常に考える事が収益を生み出す職種に変えていけるポイントだと思います。
まとめ
- 一般クリニックは 常勤5人(事務3人・看護師2人)が普通
- 安上がりと言えどもパートだけではクリニックが成立しない
- 収益を生み出す職種に変えていく努力も必要
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