【経営を苦しめる魔物】モノを持つとお金がかかる

せっかくクリニックを開業するのだから良い設備を持ちたい、と思う気持ち、わかります。

ただ、設備は持って終わりではなく、維持費がものすごいかかります

ちょっとしたものの積み重ねがだいぶ効いてきます。

クルマだって金喰い虫だと思ったことはありませんか?

自動車税・車検代・メンテナンス代といった維持費(ランニングコスト)は見過ごせませんよね。

維持費のかかる医療関係の設備

これはもうすべてのものです。

機械 年間保守料
MRI 600万
CT 200万
レントゲン 20万
電子カルテ 60万
PACS画像システム 50万
年間保守料 = 維持費
  • 保守料とは、メンテナンス料のこと
  • それぞれの機械につき保守料が設定されている
  • 購入前に保守料(=維持費)の確認が必要

 

MRIの維持費は年間500-600万

特にMRIのランニングコストは高額です。年間500-600万かかり、さらに壊れた時の部品交換は別途かかる事が多いです。

コイルが壊れた時は500-600万の保守に含まれ、無料交換してくれる事が多いです。契約前にしっかり確認しておきましょう。

ちなみにMRI用コイルとは、撮影に必要な患者さんの体に当てる道具で、コイルを普通に買うと1個300万くらい(100~300万)かかります。

コイルはだいたい10年くらいで自然劣化で壊れる事が多いです。

MRIやCTを持たないレントゲンのみの整形外科が初期投資の面でいかに有利かわかります。

機械ではMRIが別格に高いのね

助手ちゃん

ごま氏

でもMRIは病院の目玉になるはずだから維持費はフルメンテナンスでかけておいた方がいいね

クリニックにおいてMRIの位置づけがそこまででもないなら、MRI導入そのものを考え直した方が良いかもしれないね

 

レントゲンは維持費が格安

レントゲンの維持費は部品交換も含めて年間10万くらいなので他の画像検査に比べると維持費も格段に割安です。

導入しない手はないでしょう。

ただ部屋とレントゲン装置のサイズについては、撮影部位次第です。胸部XPしか撮影しないのであれば小さいレントゲン室で十分です。

整形では、透視機能付きのレントゲン装置脱臼整復やブロック注射ができれば収益は飛躍的に向上します。

通常のレントゲンであれば、富士フィルムコニカからレントゲン装置を選択することになります。

イメージ的には、富士フィルムがちょっと高くて正統派コニカが廉価版(普及版)といった感じです。

ちなみに業者からフィルムレスのレントゲン機械を勧められますが、内科の開業では不要です

カセッテのレントゲンで十分です。

レントゲンはなくてもいいんですか?

助手ちゃん

ごま氏

レントゲンがないと検診ができないから、検診から吸いあがってくる生活習慣病の月1通院も自然と減ってしまうよ

レントゲンは安いし、あった方がいいだろうという経営判断が無難だと思うよ

CTの維持費は年間200万

CTはそもそもクリニックには不要です。

病院勤務では、内科の先生は、胸部や腹部のCTをポンポンとオーダーしていたので開業してもCTを欲しがります。

しかし、放射線科の読影なしではリスクが大きいです。

消化器内科の先生であっても、胸腹部に写りこむ骨の異常や子宮卵巣の異常はさすがに毎回正しく診断できない場合もあると思います。

脳外科や神経内科などの神経系のクリニックで、MRIを置かない場合はCTがあっても良いかもしれません。

また、耳鼻科の顔面CTなら難治性の副鼻腔炎に対してたくさん撮影するのであっても良いかもしれません

CTは問題が多いですね

助手ちゃん

ごま氏

なんせ見逃しリスクがあるからね

導入するなら遠隔読影とセットで考える方が良いだろうね

稼働率の良くないCTをどう生かすか

 

電子カルテは年間30万だがピンキリ

電子カルテの維持費もバカになりません。

最近では無料の電子カルテも普及してきました。

ただし、維持費無料の電子カルテは、初期導入時に自分で作りこまないといけないので、大変です。

また、無料カルテはスタッフ教育をするインストラクターすらいません

カルテの作りこみも時間がかかるため、内科でロケットスタートをしない前提(少しずつ患者さんが増える前提)であれば、ゆっくり時間をかけてカルテを修正していくのも良いでしょう。

クリニックはパナソニック・メディコムがシェアNo1です。

病院では富士通がシェアNo1です。

営業所の距離なども考えて、電子カルテを決めるのが良いでしょう。

ただの記録帳と思えば、維持費30万は高いわ

助手ちゃん

ごま氏

あとはスタッフトレーニングと消費税増税・保険点数改定時のレセコンのアップデートの対応なども込みで考えて納得いく値段かを考えよう

 

PACSはこだわると高い

MEMO
PACSとは、画像を表示するディスプレイと、画像を貯めておくパソコンの事です

 

PACSはレントゲン1~2枚見るだけなら、レントゲン装置と一緒のメーカーのPACSで十分です。

例えば、コニカのレントゲン装置と、コニカのPACSを同時に導入して値段をグッと抑えるという作戦が無難です。

PACSをこだわる時は、CTやMRIのシリーズ画像を頻繁に診る場合です。

クリニックの規模であれば、なるべく維持費は安いPACSを選びましょう。

良いものや、専門のPACSとなると、維持費はやはり年間30-80万くらいはかかります。

ただ、JMAC(ジェイマック)、PSP(ピーエスピー)などは、びっくりするほど使い勝手が良いので悩ましいところです。

画像をどこに保存しているかもしっかり確認しておきましょう。

自院に大きなサーバーが置かれている場合は、そこにデータが保管されているため、地震や火事などの震災があったときデータは復元できません。

クラウドなら復元できます。契約前によく確認しておきましょう。

維持費が高くても、画像記録がなにかのトラブルがあっても復元してもらえるのなら多少高くてもいいですね

助手ちゃん

ごま氏

実はクラウド保存ではないから、震災などでデータが飛んだ場合は、保守に入っていてもデータは引き出せないよ

クラウドかどうか(災害後にデータを復元できるかどうか)は確認しておいた方がいいね

まとめ

  • MRIはフルメンテナンスで契約をする
  • MRIが病院の目玉ではないなら導入を控える
  • CTを入れるのは基本的にはやめよう
  • 無料の電子カルテは時間がある先生が選択
  • PACSは安いものでOK
  • PACSがクラウド保存か(災害後にデータ復元できるか)を確認してから契約

 

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