医師会のメリットは、健診とインフル予防接種だけ
開業を志すみなさん、地域の医師会には入りましたか?
医師会の入会は必須ではありませんが、入っていない開業医の先生は少ないです。
なぜ医師会に入るんでしょうか。
目次
医師会の入会費は300万
- 日本医師会+県医師会+市の医師会 を全部合わせて300万円
- 市の医師会の入会費が1番高い
医師会の入会費は約300万です。
地域に差はありますが、大体このくらいが目安です。
安い地域で、100万円です。
開業費用が1億から1.5億とすると、入会費300万は開業費用の約3%です。
全体の1%以上の費用は割合としては大きいと考えた方がいいです。
さらにランニングコストが年間30万円程かかります。
300万円の内訳
- 日本医師会の入会費
- 都道府県の医師会の入会費
- 市町村の医師会の入会費
この中でも、市の医師会の入会費が別格に高く、200万円以上かかります。
医師会入会のメリット
- 国保の特定検診ができる
- 予防接種を実施できる
- 個別指導の時に知った先生のサポートを受けられる
- 医療関係の賠償責任の保険に加入できる
(医師会の顧問弁護士のサポート)
医師会入会のメリットを上記に挙げてみました。
他にも、地域の先生と顔見知りになれる、という組織そのもののメリットも当然あります。
国保の特定健診は、内科では必須
新規の生活習慣病を拾い上げて、月1患者さんを獲得できるのは特定検診の大きなメリットです。
特定検診は医師会に加入しなければ患者さんが受診しません。
特定検診は内科を標榜するにはとても大きなメリットです。
内科は風邪や腹痛を診て収益を上げる科ではありません。
内科は月1の生活習慣病を診て収益を上げる科なのです。
つまり新規の生活習慣病を拾わなければいけません。
新規の生活習慣病を拾うには、検診異常一択なのです。
検診異常を拾うには、やはりその施設で検診をやる他ないんです。
社保の特定検診は、40-50歳代の方が多く、検診異常が少ないです。
そのまま生活習慣病の管理に入れる高齢者の検診、つまり国保の検診をしっかり引っかけるべきなのです。
助手ちゃん
ごま氏
皮膚科・耳鼻科だって月1通院の慢性疾患ありきだからね
予防接種は毎年、医師会の講習会が必要
医師会に入会しないと予防接種の補助券が使えません。
補助券が使えなければ、患者さんは予防接種を打ちにきません。
あまり知られていませんが、医師会の講習会をやらないと市町村から補助の出る予防接種は実施できません。
つまり、B型肝炎のワクチンや、風疹ワクチン、肺炎球菌ワクチン、インフルエンザワクチン、などです。
特にインフルエンザワクチンはクリニックの広告にも使えますからしっかり受講しましょう。
助手ちゃん
ごま氏
ただ、市町村の補助が使えるワクチン接種は講習が必要なんだ
補助が使えるクリニックに普通は来るよね
個別指導では市の医師会会長が同席する
個別指導は保険医療機関の看板が奪われかねない緊張する場です。
新規個別指導は、問題ありませんが、その後に個別指導になった場合は厳しい指摘を受けます。
以前、個別指導の場では、保険審査員の先生から保険医が厳しい指導を受けて、自殺者まで出た程、保険医の人権が侵害され得る場です。
そんなある意味恐ろしい場所に同席してくれるのが、市の医師会会長です。
当然顔見知りであればバックアップ、援護射撃、フォローを受ける事ができます。
逆に医師会に入会していない開業医に対して、市の医師会長は良い顔をしません。当然フォローもあまり期待できないです。
医師会に入会せずに1人で収益を上げてしまった場合は、個別指導に呼ばれないようにしっかりと対策を練った方が良いとも言えます。
助手ちゃん
ごま氏
でもせっかく開業したのだから自由にやりたいのも事実だしね
医師賠償責任保険の加入と弁護士支援
医師会歴が長い先生の推しは、保険だと言います。
医師賠償責任保険は、勤務医時代は各学会で入っていた保険ですから、医師会に入会しない場合は学会での保険に入ればいいわけですね。
他のメリットとしては、施設での事故も補償する保険に入れる、100万円以下の保障の保険に入れる、職員用の保険に入れる、ということです。
詳しくは開業医の保険についてまた別にupします。
助手ちゃん
ごま氏
医師会入会と集患は別
医師会に入っていると患者さんが増えるかというとそんなことは全くありません。
医師会に入っていても入っていなくても、患者さんが多いクリニックは多いです。
患者さんが少ないクリニックは少ないです。
助手ちゃん
ごま氏
大学教授だからといって決して年収が高くはない、ということと同じだね
社保の検診は医師会に入会していなくてもできる
社保の検診は医師会に加入していなくてもできます。
その場合は、社保の検診の手続きをしてくれる地域のNPO法人と契約する必要があります。
開業すると自動的に営業に来たり情報が入ってきます。
契約に数か月かかるため、開業初年度は社保の検診はできないと思った方が良いでしょう。
助手ちゃん
ごま氏
でも次年度からは検診ができるから書いておいて上からシールでマスクしておくのがいんじゃないかな
健診をやっている事はアピールした方がいいね
医師会に入会していなくても、保険医協会は入った方が良い
医師会入会の裏メリットとしては、やはり情報です。
人が集まれば情報交換の場が生まれます。
開業当初に困る事のひとつが「保険請求のノウハウ」です。
保険医協会はその地域において、どのような保険診療の算定のされ方か、審査で厳しい点はどこか、安全に請求できるポイント、などを電話で教えてくれます。
保険医協会は月額5000円くらいで支援が受けられるので、これは入っておいた方がいいでしょう。
医師会の中でいくら情報交換ができると言えども、開業したばかりの新人の立場で、根掘り葉掘り、聞きたい事を遠慮なく聞くのは抵抗があります。
助手ちゃん
ごま氏
医師会に入るデメリット
メリットが人脈なら、デメリットも人脈です。
組織の一員になるため、長くやっていると役が回ってきます。
理事やいろんな委員会、究極的には「医師会長」が回ってきます。
地域の医師会の仕事はもはや雑用と考えた方が良くて、医師会で顔が売れて患者さんが増えるかというと決してそんなことはありません。
患者さんは誰が医師会長か、医師会の重鎮か、は興味がありませんし、知りません。
なので医師会長の病院が流行るということは決してありません。
助手ちゃん
ごま氏
医師会に入るべき科と入らなくてもいい科
- 内科以外の科(整形・皮膚・眼科・耳鼻・精神)は、医師会に入らなくてもいい
- 医師会に入会したからと言って増収しない
- 医師会に入らなかったからと言って減収しない
医師会に入るべき科は、検診が必要な内科です。
そして医師会に入らなくてもやっていける科は、検診が不要な皮膚科、耳鼻科、整形外科、精神科、です。
眼科は微妙に検診が関わってきます。
また美容皮膚科などの自由診療ができれば、なおさら医師会入会の必要性が低くなります。
医師会入会と収益は無関係です
医師会に入会することと、収益構造を維持する事は無関係です。
自信を持って開業し、粛々と診療を継続してください。
助手ちゃん
ごま氏
医師会に入会する必要があるのは検診が必要な科、と覚えておこう
まとめ
- 内科で開業するなら医師会は入るしかない
- 皮膚科、耳鼻科、整形外科は医師会に入らなくても問題ない
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